太宰治「斜陽」読了。走れメロスは国語の教科書で読んだことあるけど、それ以外だと実は太宰作品を読むのはこれが初めてでした。読み始めてしばらくは、言葉を選ばずにいうと「メンヘラ……」と感じてしまってうんざりするような気持もあったのですが、なぜだか読み進めるうちにそんな感覚は薄れていって、いつの間にか作品に没頭していました。なんだろうな、これは完全に個人的な主観だけど、江國香織さんの小説に漂う空気と似たものがある気がする。甘美な狂気というか。あまり共感はできないけど、妙に惹かれるあの独特な空気。没頭できた理由の一つに、「読みやすい」というのはあると思う。前に読んだ夏目漱石の「こころ」なんかはえらく読むのに苦労した記憶があるけれど、「斜陽」は読んでいて文章がスッと頭の中に入ってきた。単語が難解ではないし、文体も私は好き。あとは単純に話が面白かったのもあるし、なんだろう、共感はできずとも主な登場人物がそれぞれに魅力的だったのもあると思う。かず子と上原先生が一晩をともに過ごす場面とかね……大人になった今だからそう思えるんだろうけど、たまらなかったです。特に、上原先生の寝顔を見てかず子からキスするシーン。あんな風に書けるの、すごいなぁ。ただ、彼の自叙伝のようなストーリーであるこの話を読むにあたって、彼の人生のアウトラインを知った上で読んだために作品と作者を重ねてしまったので、彼の人生について知識が全くないまっさらな状態で読んでみたかった。そしたらまた感じ方が違ったかな。あとは、私があの時代に生きる女性だったら、また違った感想を持つんだろうなとも思った。それは叶わないことなんだけれど。太宰治の他の作品も色々読んでみたいから、今度本屋さんに行こう。三島由紀夫も読んでみたい。豊饒の海シリーズとか。 2024.7.5(Fri) 00:25:36 本
走れメロスは国語の教科書で読んだことあるけど、それ以外だと実は太宰作品を読むのはこれが初めてでした。
読み始めてしばらくは、言葉を選ばずにいうと「メンヘラ……」と感じてしまってうんざりするような気持もあったのですが、なぜだか読み進めるうちにそんな感覚は薄れていって、いつの間にか作品に没頭していました。
なんだろうな、これは完全に個人的な主観だけど、江國香織さんの小説に漂う空気と似たものがある気がする。
甘美な狂気というか。
あまり共感はできないけど、妙に惹かれるあの独特な空気。
没頭できた理由の一つに、「読みやすい」というのはあると思う。
前に読んだ夏目漱石の「こころ」なんかはえらく読むのに苦労した記憶があるけれど、「斜陽」は読んでいて文章がスッと頭の中に入ってきた。
単語が難解ではないし、文体も私は好き。
あとは単純に話が面白かったのもあるし、なんだろう、共感はできずとも主な登場人物がそれぞれに魅力的だったのもあると思う。
かず子と上原先生が一晩をともに過ごす場面とかね……大人になった今だからそう思えるんだろうけど、たまらなかったです。
特に、上原先生の寝顔を見てかず子からキスするシーン。
あんな風に書けるの、すごいなぁ。
ただ、彼の自叙伝のようなストーリーであるこの話を読むにあたって、彼の人生のアウトラインを知った上で読んだために作品と作者を重ねてしまったので、彼の人生について知識が全くないまっさらな状態で読んでみたかった。
そしたらまた感じ方が違ったかな。
あとは、私があの時代に生きる女性だったら、また違った感想を持つんだろうなとも思った。
それは叶わないことなんだけれど。
太宰治の他の作品も色々読んでみたいから、今度本屋さんに行こう。
三島由紀夫も読んでみたい。豊饒の海シリーズとか。