No.117

 住宅街のなかほどにひっそりと佇むコーヒーショップ。
 さながら砂漠のオアシスのようなその店には、何かしら渇きを抱えた人々がふらりと立ち寄っては癒され、満たされては立ち去っていく。
 今日もまた、誘われるように店へと立ち寄る者が一人ーー。


「あちィ」
 真夏の午後。まだ太陽も高く、気温も一番高い時間帯であるこの時に、ゾロはスーツのジャケットを腕に抱え、汗をかきかき道を急いでいた。
「クソッ、どこなんだよここは」
 普段は人の倍時間をかけて目的地まで到着するところを、今日は珍しく時間通りスムーズに辿り着き、営業のノルマもいつにも増して順調にこなせたところまではよかった。直帰の予定にしていたのでこのまま帰って日が高いうちからビールでも飲みに行こうと思っていたのに、もうかれこれ1時間ほど住宅街を彷徨っている。見間違いじゃなければ、営業に出向いた家の前をほんの数分前にまた通り過ぎた。いったい何がどうなっているのだろうか。迷宮のラビリンスじゃあるまいし。
 それにしても、とゾロは立ち止まりギラギラと照りつけてくる太陽を見上げた。暑すぎる。喉が渇いて仕方がない。なのに、閑静な住宅街であるここにはコンビニや飲食店もなければ自動販売機すらない。持っていた飲み物はとうに飲み干してしまったし、このままここを抜けられなければ万事休す。熱中症一直線だ。
 焦りを感じつつどの方向に向かうべきかとぐるりと辺りを見回した時、ふと目に入った建物があった。
 洒落た外観の2階建てのアパート、その1階の一部がガラス張りになっていた。おおよそ家らしくない外観に、何かの店だろうかと吸い寄せられるように近づいた。ややスモーク調の窓から中を覗き込む。何やら見慣れない機械に紙コップらしきものが見えるが、人の姿は見えない。とその時、視界の端、窓ガラスの下の方に「lieu de repos」と書いてあるのが目に入った。

「りえう……? やっぱりなんかの店なのか?」

紙コップがあるのを見るに飲み物が買える店だったらラッキー、もしそうじゃなくても道を尋ねるくらいはできるかもしれないと、ゾロはとりあえず中に入ってみることに決めた。ガラス戸をコンコンとノックしてからそっと押し開く。



…昨日素敵なコーヒーショップに行ってから、こんな感じの妄想して楽しんでる。続く…のか!?
思いつくままに適当に書いてる時が一番楽しいし筆がのるなー。
ちゃんと書こうと思うほど書けなくなる不思議。

SS